Fruitsjolieとつながる場所、京都直営店への思いを
マネージャー・下津佐千紗さんに訊く
text: Jina Lee
京都・木屋町通りの西側。四条河原町からたった4分の場所だけど、静かで落ち着いた大人の街であることがわかる。近くには高瀬川が流れていて、春には桜が満開に咲くのだそう。
元町家を改装したその建物の1階にはクラフトジンのお店、階段を上がって2階に立ち飲みの本屋、そしてその隣が Fruitsjolie の新店舗だ。
この約7坪空間がこれから変幻自在に、どこまでも自由に、コミュニケーションの場所となっていく。
Fruitsjolie を立ち上げてから約9年。兼ねてから直営店舗の構想はあったそうなのだが、このコロナ禍の2020年夏から本格的に動き出した。
「Fruitsjolieというものは一体なんなんだろう? とずっと考えていて……。もちろん天然石のジュエリーブランドであるんですが、それをもっと深く掘り下げた時に、どういうものが Fruitsjolie? って。それで、いろんな人が楽しんでつながる“何か”を発信していくということが FJなんじゃないかと思ったんです。」
そう話してくれたのは Fruitsjolie のマネージャー下津佐千紗さん。
Fruitsjolie ができた初期からブランドに関わっていて、誰よりも Fruitsjolie のお客様と接していたからこそ届けたい思いが直営店にはある。今回は、そんな下津佐さんに京都店への思いを訊いた。
「私が京都に住んでいて、その京都で私と同じ方向を向いて付いてきてくれるケイさんというスタッフがいるんです。だから店舗を構えるなら場所は京都で、と思っていました。お店の物件も探し始めてすぐにいい場所が見つかってご縁を感じました。」
下津佐さんの醸す雰囲気は楽しく居心地が良く、今ではインスタライブやイベントに下津佐さんが立つと、たちまちファンの方々が反応する人気ぶりだ。
「基本的なスタンスはイベントの時も、どこか地方の百貨店で接客する時も変わらないんです。お客様が Fruitsjolie の売り場に来てくれたら、自分たちも楽しみながらお客様との時間を大切にする。京都店はそこにプラスして、その空間も楽しんでもらえるようにしていきたいと思っています。平井さん(オーナー兼デザイナー:平井宏幸氏)の好きなものだったり、私の好きなものだったりに囲まれて、Fruitsjolie が作り出す世界観の中でゆっくり寛ぎながらジュエリー見てもらえるようなスペースを用意しています。そんな空気感の中で、お客さまには思っていた Fruitsjolie とは違う側面を楽しんでもらい、より深く知ってもらえたら嬉しいです。」
これまでの言わば「間借り」のイベントスペースではなく、Fruitsjolie チームが一丸となって作り出す空間。せっかく訪れた方たちに思い切り楽しんでもらいたい。そして、また来てもらいたい。そんな思いがこの京都店にいっぱい詰まっている。その一つとして新たに用意されたのは、ジュエリーショップでは異例のパウダールーム(=試着室)。
その構想は、Fruitsjolie デザイナーの平井氏がフランスを訪れた際に、たまたま見かけたとあるショップがアイデアのきっかけだったのだと言う。歩道からふと眺めたその先にある人が入るのを憚られるくらいの店内の異空間な装飾に面白みを感じたという。一方、下津佐さんは、イベントの店頭に立った際にお客様が一人になる時間を作ってあげることに気付かされたという。
「以前、アパレルブランドの方に『私たちには試着室というものがあって、私たちも一回休めて、お客様も一回冷静に似合うのか、そうじゃないのか考えられるタイミングがあるからそこでリフレッシュができるんですよね』って言われたことがあったんです。『私も考えられるし、お客さまも考えられるからその時間がすごくいいんですよね』と。そこでパウダールームの使い方を教えてもらったんです。」
デザイナーの閃きと下津佐さんの経験が掛け合わさって、ジュエリーブランドでは異例のパウダールームが京都店には作られる。
「お客さまはパウダールームでゆっくりとそのジュエリーと自分が合うのか一旦考えてもらいたいと思っています。もちろん買ってもらえたら嬉しいんですが、まず一人で考えるスペースがあったらいいと思いました。私が最初からお会計まで喋ってしまって買わないといけないという気持ちにさせてしまってもいけないので(笑)。しかも、その空間は平井さんが考えたものすごくフォトジェニックな非日常な異空間なんです。」
その空間でひとりジュエリーをつける至福の時間は一体どんなものになるのか、どんな反響があるのか今からとても楽しみだ。
その他、店舗を構えることで可能になったことがたくさんあるという。その一つがリメイクオーダー。
「お祖母様からジュエリーをもらったけど、古いクラシックな枠なのでFJの枠で直してほしいと言われるお客様って多いんですね。そんなご要望にも対応できるようになります。事前予約制とはなりますが、Fruitsjolie ではシルバー含め、いろいろな素材でリメイクすることができるので、カジュアルにリメイクを楽しんでもらうことができるようになります。」
「つながる」ということをブランドコンセプトとして掲げている Fruitsjolie にとって、代々受け継がれていくジュエリーを作ることはまさにブランドの軸そのものだ。
また、みんなが集える場所を設けたことで、新しい試みとして、今後はワークショップなどもやっていきたいそうだ。
「私はお花がとても好きなので花屋さんを呼んで、FJの天然石に囲まれながら、お花のスワッグを作ったりしても面白いと思いますし、ヘアメイクをしている友達がいるので、講習をしてみてもいいと思っています。発信できるものを持っているのに、発信できない人っていると思うんですよね。そういう場所がない、機会がないとか。そんな人とつながってFJ京都がそういう発信する場所であってもいいと思っています。」
コロナ禍の中で、予定していた対面でのイベントは軒並み中止になってしまったが、Fruitsjolieではインスタライブというコミュニケーションツールを使って、WEB上でお客さまとつながり続けた。思いがけず、その反響は大きく、それが大きければ大きいほど、自分たち自身でリアルにつながる“場所”があることの大切さに気付かされたと言う。
「もともと京都にお店を、という話はありましたが、このコロナ禍で一気に話が進みました。『つながる』というブランドの軸をもっと極められる場所が必要になったんです。」
つながる場所として、誕生する Fruitsjolie 京都店。ジュエリーブランドとしてはもちろん、ここで様々な活動を発信し、ブランドとして新たなフェーズに入っていく。
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