雪がちらつく二月の京都
底冷えと呼ばれる厳しい冷え込みは、盆地である京都特有の肌感覚。
鍋底のように地面にたまった冷気が、足もとから伝って体の芯までじーんと染み入ります。
とはいえ、立春を迎えて、春の足音がかすかに聞こえてきています。
受験シーズンでもある今の時期に賑わう観光スポットといえば、北野天満宮です。
菅原道真(菅公)を祀った天満宮の総本社で、学業成就を願う学生さんが途絶えません。
菅公とゆかりの深い梅
菅公は、自宅に梅を植え愛でて、わずか5歳で梅の和歌を詠んだと言われます。
左遷前に読まれたこの歌と、後の飛梅伝説はあまりにも有名です。
《東風吹かば 匂いひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな》
約1,500本の梅の木が植えられた北野天満宮では、お正月から3月末にかけて咲き繋ぐ花を愉しめます。
梅の花が満開を迎える2月の別名は「梅見月」。ちょうど旧暦のお正月にあたります。
新年を寿ぐ可憐な美しさと馥郁(ふくいく)たる香りに、きっと菅公も魅了されたことでしょう。
梅の花言葉―「忍耐」
梅にはたくさんの花言葉がありますが、その一つが「忍耐」。
雪降りしきる中で凜と咲き誇る梅に、人々は厳しい環境に耐える自らを重ねて、奮い立たせてきました。
紅梅に雪が積もる風景になぞらえて製作したのが、こちらのリング。
紅梅は希少な高知県産の血赤珊瑚で、淡雪はスクエアのムーンストーンで表現しました。
縁起の良い宝石「珊瑚」
海中の微生物が、深く冷たい海底で長い時間をかけて形成する珊瑚。
3月誕生石であり、ゆっくりと育まれるさまにあやかって、結婚35周年は「珊瑚婚式」と呼ばれます。
カラーバリエーション豊かな中で、世界最高と評される高知県土佐沖産の血赤珊瑚。
生命力に溢れる朱赤色が災いから守ってくれるとされ、古くから婚礼道具として受け継がれてきました。
昨今は90%が輸出されて、国内流通するものは希少だそう。
石留め部分の白い模様「ふ」が、国産天然珊瑚の証です。
赤と白のコントラストが美しいギメルリング
この血赤珊瑚に添えたのは、透明度の高いムーンストーン。
氷のような質感が、冴え渡る京都の寒さやしっとりと緩んだ雪を思わせます。
パーティや和装にも映える華やかなリングです。
凍寒の京都で、人々の心に暖かさを灯す春告草。
咲きそろう頃には、希望に溢れた季節がすぐそこまで来ています。
そんな四季の移ろいを、身にまとってみてはいかがでしょうか?
【梅乃おすすめの甘味処】
北野天満宮の境内茶店でいただける長五郎餅は、モチモチの羽二重餅になめらかなこしあんが包まれています。
(写真は、天満宮から徒歩5分の長五郎餅本舗本店です)
一の鳥居の向かいにある澤屋さんでは、こしあんで包んだ丸餅と、きな粉をまぶした細長い形の2種類の粟餅が楽しめます。
参拝で冷えた体に優しい甘みと温かいお茶が染み渡る、おすすめの休憩場所です。
Text:梅乃